紙の月

2014年公開、「八日目の蝉」の角田光代の同名小説が原作。

銀行員として働く梅沢梨花。夫との関係はどちらかというと不満気味。そんなある日、大学生と出会い不倫関係となり、彼につかう金が足らず横領に手を染める。

トーンは常に低めなのに、退屈な時間はなかった。
宮沢りえが演じる梅沢梨花という女は、感情を表に出さないというか、なにを考えているのか真意を隠すというか、冷静とはまたちがう、なにか秘めているというか、つかみどころのない印象で、おそらくそれがこの映画にぴたりハマっていたようです。

不倫だの横領だの、決して良くないことをしているのになぜか美しいのは、きっと宮沢りえだからで、配役のおかげで退屈しなかったんだろう。

じゃなきゃストーリーに力はなく、どこかリアリティのない、ずっと少しだけ浮いているような、パンチのない映画で30分すら見ていられなかったと思う。
役者たちの言葉でストーリーが作られるのではなく、描写だけでストーリーが進んでいく感じ。
だから真意がわからない、汲み取るしかない、みたいな。

もう少しだけ、不倫に至る経緯、横領に至る経緯を描写しても良かったんじゃないかとも思うけど、なにかが起きたとき、なにかを起こすときというのは、動機なんてわずかなもので、気づいてたらしていた的なものと言えば確かにそうだ。

※少しネタバレ系です。
女は男で何色にでも染まってしまうし、汚い手だって容易につかう。堕ちた女なんて、たいした理由もなくなれるもんだきっと。

ただ不思議なのは、最初から最後まで梅沢梨花が不倫相手に対して愛をかんじられなかったこと。いわゆる重い女にならなかったあたりが大人の女で、とてもうらやましい女だけど、横領に手を染める動機が弱いと思うのもおそらくつながっているんだろう。

あの表情だから、いかんせんなにを考えているかつかみにくい芝居だからかミステリアスでどこかに闇があります的な女性の悪い心みたいなのが出てる感じ。
不倫も悪事も”ペーパームーン”とは、女性には心に突き刺さるものだろう。

とんだバカ女と言えばそれまでだけど、女ってこんなもんだ。
梅沢梨花だけがバカ女なのではなく、小林聡美も大島優子もしっかり女の悪い心出してたしね。

梅沢梨花にとっての現実世界はつまらない日常、でも気づけばしあわせと思っていた男との関係も若気の至りのような大学生のひとつの思い出として消え去り、、、嘘の世界は最後には必ず消えてなくなるからな。

真実とはどこにあるんだか。真実の愛とはどこにあるんだか。

画像出典:http://www.kaminotsuki.jp/

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