鑑定士と顔のない依頼人

2013年公開イタリア映画。主演はジェフリー・ラッシュですが、最初はジェームズ・ウッズ負けたな~なんて勘違いしていました。ほんとソックリ。

ヴァージル・オールドマンは几帳面で厳格な美術品鑑定士。女性が苦手で目も合わせられない。が、彼の趣味は女性の肖像画をコレクションし眺めること。
あるとき、突然依頼が舞い込んでくるが、依頼人は壁の向こう、つまり顔を見せてくれない女性だった。

後半になるといろいろと分かってきますが、さいごまでとてもおもしろかった。
特にさいしょはすごくミステリアスで、むしろちょっとホラーだったりして?と想像が膨らみ、意味不明にビビってみたりしたほど。
終わってみればそんなホラーなんて要素はひとつもないのでご安心を。
話云々はさて置き、鑑定士という職業がちょっとかっこよくって知りたくなった。
ヴァージルの場合は相当な知識と、ゆえの成功があったため、一般人からすると軽く雲の上の存在。高級レストランを独り占めに、豪華な自宅。
仕事柄、必要なのは研ぎ澄ませないといけないのは美術品を見る目。
経験がなせるという美術品を見る目。
前半、ヴァージルの美術品へのこだわりとその目というのを知らしめられる。
このひとには頭が上がらないな、というそんなかんじ。

研ぎ澄まされた目はあくまでも美術品のためであり、それ以外はまだまだ生ぬるかったヴァージル。
皮肉なことに、美術品を見る目は、女性や友だちを見るほど養われていなかったという。
後半、そんな香りがプンプンしてきて案の定。

愛も偽ることができるのか?というシーンはフラグ立ちまくりだったのは、見る多くのひとがわかったはず。
分かってはいたが、ヴァージルの虚無の表情を見るのは心が痛い。
長い人生を生き、はじめて恋をして、はじめて女性を抱いて、はじめて鍵を渡して、老体になってからの恋愛は体力の消耗が半端ではないと予想できるが、関係なしに無尽に彼女のためならうごける。
若くても老いていてもおなしだ。恋をすると何にでもなれるし、何でもできる。
これまでにない彼のしあわせを一瞬にして奪ったあのシーンは、ほんとに胸が痛くなった。

ずっと信頼を置かれていたロバート、恋に落ちたクレア。
とんでもない詐欺集団だったわけだけども、頭のキレる警戒心ガチガチの老人を陥れるなんて大したもんだ。
クレアのテクニックは、とにかく感情を揺さぶれ作戦。怒らせ心配させ怯えさせ気にさせまた怒らせ心配させ・・・のくり返し。
ここまで心をかき乱されれば好きになってしまうだろう、特にこれまで恋愛したことのないヴァージルのことなら。

さいしょから本当なんてひとつもなかったなんて、そんな悲しいことはあるか?

男と女になって、お互いの関係に本当のことがひとつもなかったなんて、こんなにつらいことはない。
もう二度と手に入らないというのと、手にすら入っていなかった、そしてすべてウソだったと。
あたしはヴァージルとおなしかもしれない、つまり虚無と孤独と生きていくしか道がないのかもしれない。

救いになるかわからないけど、唯一の本当はプラハのナイト&デイ。
機械仕掛けの雰囲気は、ロバートを思い出させるのが悲しいが、クレアの口から発せられた唯一の真実を心底感じたかったのだろう。

あたしも浸ることができるなにかがあれば、毎日でも通って彼の本当に浸りたい。

kanteishi2

こちらも面白いかもヨ/// 関連映画